第3次地域福祉活動計画
地域福祉活動計画とは
地域福祉活動計画は、誰もが住みなれた地域で安心して生活ができるよう、地域の中に潜在化している様々なニーズを取りあげ、地域の自主的な福祉活動を支援するとともに、将来にわたって総合的な事業展開を図る際の方向性や具体的行動目標を示すものです。そして、この計画は、「公助(行政などが行う公的サービス)」 「共助(介護保険制度など制度化された相互扶助)」「自助(自分自身や家族で解決すること)」「互助(地域の中のたすけあいで解決すること)」を柱として実施し、行政機関、市民、民間組織が協働して、各々の特性を生かして事業推進を行うための基本となる行動計画で、社会福祉協議会が中心となって策定するものです。
一方、行政機関においては、同じ目的を持つ「地域福祉計画」を策定し、地域福祉の推進が社会福祉の理念という社会福祉法の規定に基づき、地域福祉推進の役割を位置付けることになっており、双方の計画は互いに補完補強しあうものとして策定されます。

第3次奥州市地域福祉活動計画(2021〜2025年度)
中間見直しについて[616KB] ダイジェスト版[1.16MB] 表紙・目次[265KB] 第1章 総論[611KB] 第2章 地域福祉活動計画の基本的な考え方[900KB] 第3章 推進目標による実施計画【第2期】[1.6MB] 第4章 資料編[1.38MB]過去の資料【第1期】
第3次奥州市地域福祉活動計画【第1期】[4.6MB]第3次奥州市地域福祉活動計画の中間見直しについて
令和2年度に策定した第3次奥州市地域福祉活動計画(以下、「地域福祉活動計画」という)の計画期間は、令和3年度から令和7年度までの5年間で、第1期を令和3年度から令和5年度、第2期を令和6年度から令和7年度とし、第1期と第2期の中間年度については、策定後に生じた状況の変化(各法律や制度の改正)等に対応するため内容を見直しました。
また、この地域福祉活動計画は、奥州市が策定した第3期奥州市地域福祉計画(以下、「地域福祉計画」という)と連動しており、地域福祉計画も同時に見直しを行ったため、その内容に沿って計画内容を一部改正し、第2期の福祉活動に向けて推進していきます。
1 中間見直し項目
地域福祉活動計画の中間見直しの項目については、次のとおりです。
2 見直し内容
各項目における見直し理由及び内容については、次のとおりです。
➢ 1 誰もが安全・安心に暮らせる地域づくり
(1) 身近な地域における生活課題の発見や解決に向けた体制をつくろう
【見直し理由】 認知症基本法及び障害者総合支援法の改正等に伴い、それぞれの環境に置かれた人々が地域で共に生活していくため、地域内での見守り活動から困りごと等の早期の発見とお互いに支え合える福祉教育の取り組みに向けて見直します。
➢ 2 地域福祉を支えるしくみづくり
(4) 子育て世帯を地域で支えるしくみをつくろう
【見直し理由】 児童福祉法改正及びひきこもり支援推進事業の実施に伴い、子育て世帯が地域社会とつながり続けられるよう、また、子どもたちが安心して日々の生活が送れるよう、サービスの利用から支援の体制づくりに向けて見直します。
➢ 3 市民の暮らしや活動を支える体制づくり
(4) 近隣にみえにくい困りごとを地域や専門機関が連携して解決に向けた支援につなげよう
【見直し理由】 再犯防止推進計画策定及びひきもり支援推進事業の実施から、課題を抱える世帯等に対して、専門職員等による連携や伴走による支援の実施に向けて見直します。
(6) 市民の相談を真剣に受け止めて支援する体制をつくろう
【見直し理由】 重層的支援体制整備事業の本格実施に向けて、各専門分野による相談対応と多機関による連携対応の実施に向けて見直します。
各項目の見直し内容については、「第3章 推進目標による実施計画」のとおり
第1章 総論1
地域福祉活動計画とは
地域福祉活動計画は、誰もが住みなれた地域で安心して生活ができるよう、地域の中に潜在化している様々なニーズを取りあげ、地域の自主的な福祉活動を支援するとともに、将来にわたって総合的な事業展開を図る際の方向性や具体的行動目標を示すものです。そして、この計画は、「公助(行政などが行う公的サービス)」 「共助(介護保険制度など制度化された相互扶助)」「自助(自分自身や家族で解決すること)」「互助(地域の中のたすけあいで解決すること)」を柱として実施し、行政機関、市民、民間組織が協働して、各々の特性を生かして事業推進を行うための基本となる行動計画で、社会福祉協議会が中心となって策定するものです。
一方、行政機関においては、同じ目的を持つ「地域福祉計画」を策定し、地域福祉の推進が社会福祉の理念という社会福祉法の規定に基づき、地域福祉推進の役割を位置付けることになっており、双方の計画は互いに補完補強しあうものとして策定されます。

第3次地域福祉活動計画のねらいと概要
わが国の社会情勢は、少子高齢化や核家族化の急速な展開、地域におけるつながりの希薄化、個人情報への配慮など、住民の暮らしの基盤である地域社会の環境が大きく変化する中、福祉課題はますます複雑化、多様化の一途をたどっています。
また、新たな感染症の発生により、社会経済へ与える影響が大きく、個人や世帯が抱える課題は、より一層深刻化しています。
このような状況の中、国では社会福祉法を改正し、地域の住民が主体となり、福祉や生活に対する課題を自ら解決するため、お互いに支え合う住民同士のつながり、地域でのたすけあいのしくみや既存の建物、事業助成金、などの社会資源を活用するとともに、地域の風土や特徴をいかしながら、誰もが役割と生きがいを持ち住み慣れた地域で暮らし続ける「地域共生社会の実現」に向けて、全国的な取組みが進められており、地域における福祉活動の重要性がより高まっています。
奥州市社会福祉協議会(以下「市社協」という。)では、「地域の福祉力」を向上させることを目的として、地域福祉活動推進の主体となる市民が自発的に福祉活動を促進し、お互いを思いやり“だれもが心の豊かさと幸せを実感できる「福祉のまち奥州市」づくり”を推進するために、地域福祉の推進を目的とした民間の活動・行動計画として平成 21 年度に「第1次奥州市地域福祉活動計画」、平成 27 年度には「第2次奥州市地域福祉活動計画」を策定し、計画に基づき福祉活動を展開するとともに、その達成状況や評価を行いながら、地域住民と協働しながら福祉の推進をしてきました。
第3次奥州市地域福祉活動計画は、「地域共生社会の実現」に向けた推進を基本とし、近年における市民が抱える課題やニーズに対する推進目標を掲げ、5年後や 10年後を見据え、「地域の福祉力」がより一層醸成されるよう具体的に明示しています。
また、地域福祉事業の推進や民間福祉活動の調整の役割を担う市社協が策定した奥州市社会福祉協議会発展・強化経営計画(以下「発展・強化経営計画」という。)と連携し、実効性をより強固にした行動計画になります。
地域福祉活動計画策定の意義及び期間と進行管理
1 地域福祉活動計画の意義
この計画は、市民の立場から進める地域福祉活動の計画を策定するものであり、併せてその推進役である市社協の関連事業も盛り込むことで、一体となった活動を進めていこうとするものです。
市民と市社協が、ともに考え、ともに歩むために次のようなことが考えられます。
- 計画づくりを通して、市民と地域福祉活動関係者が福祉課題について共通認識を持ちながら、地域福祉活動の目標について合意形成を図ることにより、役割分担や協力して行う活動が明確化されます
- 住民懇談会などへの参加を通して、市民や地域福祉活動関係者が市社協についての理解が深まり、相互協力がしやすくなることで、組織の活動基盤の強化を図ることができます
- 中長期計画を策定することで、地域福祉活動が体系的・継続的に推進され、市民参加や関係機関団体などの連携が円滑になります
- 民間地域福祉活動をつまびらかにすることで、行政との連携、連動性の確保につながり、市民参画が容易になります
- 基本理念の達成にむけて一定の活動方針に沿った事業などを計画的に展開することで、地域福祉関係者との協働が進めやすくなります
- 市民主体による多様な地域福祉活動の展開は、多面的な福祉サービスを生み出し、その提供を可能とすることから、福祉力の向上が図られます
- 地域福祉の推進を担う市社協が策定した発展・強化経営計画と連携することで、財政基盤や組織の見直しを図り、将来にわたる地域福祉の推進が強化されます

2 地域福祉活動計画の期間と進行管理
この計画は令和7年度を到達目標に設定し、令和3年度から5年間を計画期間とします。
計画期間である5年を、第1期3年、第2期2年に区分し、期毎に進捗や達成状況などの点検(モニタリング)、評価を行いながら最終年度には総評価と第4次計画の策定を行います。
計画の執行に係る協議や期毎の評価については、奥州福祉推進市民会議において、進行管理を行います。
第2章 地域福祉活動計画の基本的な考え方
地域福祉活動計画の基本理念・基本方針・推進目標
1 基本理念
~だれもが心の豊かさと幸せを実感できる「福祉のまち奥州市」づくりへ~
だれもが「この地域に住み続けたい」願いをかなえるため、市民一人ひとりのふれあい、ささえあい、かたりあいの輪をひろげ、次の4項目をめざしながら、みんなの心の豊かさと幸せを実感できる「福祉のまち」づくりをすすめることを基本理念とします。
- 市民の福祉に対する願いに応え、「みんなと交わる」ことを大切にしながら、親しみに満ちた福祉活動をめざします
- 市民の福祉に対する関心を高め、「みんなとともに楽しむ」ことを大切にしながら、市民参加による福祉活動をめざします
- 市民の福祉に対する理解を深め、「みんなのために役立つ」ことを大切にしながら、よりよい自立に向けた活動をめざします
- 市民の福祉にかかわる活動をしている人たちと手を結び、「みんなのための福祉」のあるべき姿を考え、市民の信頼に応える福祉活動をめざします
2 地域福祉活動計画の基本方針
制度や行政サービスなどの充実が求められる一方、地域福祉活動の充実には、市民が主体となり地域での支えあいを進め、市民自らが参画し協働する福祉活動の展開が不可欠です。このため、市民の抱える福祉課題を的確に捉え、「お互いの身近な問題は地域の問題」として、市民相互で解決し、支え合える関係づくりを進めていくことが必要です。
この計画では、次の基本方針を基軸としながら、ともに支え生きていく地域社会の構築に向け、市民の創意工夫による活動をともに進めながら、福祉の風土を根付かせるとともに理解を深め、活力ある地域づくりをめざします。
- 地域の隅々に渡る地域福祉活動をめざした住民主体による地域づくりの具現化を図ります
- 実施している事業及び活動の共有と整理による事業の再編及び活性化 を進めます
- 地域福祉課題への総合相談から解決までの体制整備と明確化に取り組みます
3 推進目標
基本理念を踏まえて、次の3つの目標を設定し、項目のテーマ、項目の具体的な行動計画を策定しました。
- 誰もが安全・安心に暮らせる地域づくり
- 身近な地域における生活課題の発見や解決に向けた体制をつくろう
- 日常生活をお互いに支えあうしくみをつくろう
- 地域住民とつながりをつくり暮らしていこう
- 災害時の安否確認や避難誘導に取り組める体制づくりをすすめよう
- 個人情報やプライバシーを正しく理解しよう
- 地域福祉を支えるしくみづくり
- 地域の担い手や人材を育成しよう
- 誰もが制約されることなく移動できる環境をつくろう
- 福祉の意識を高める情報を発信しよう
- 子育て世代を地域で支えるしくみをつくろう
- 地域での活動を支えるボランティアセンターにしよう
- 地域共生社会の実現に向けて社会福祉法人の連携を強めよう
- 市民の暮らしや活動を支える体制づくり
- 福祉活動専門員(CSW)の活動を広めよう
- 市民・法人・企業など多くの機関と連携して災害に備えよう
- 個人や地域の思いを伝えられる環境をつくろう
- 近隣に見えにくい困りごとを地域や専門機関が連携して解決に向けた支援につなげよう
- 高齢者や障がい者の権利を守る取組みをすすめよう
- 市民の相談を真剣に受け止めて支援する体制をつくろう
地域福祉活動計画の重要なポイント
1 地域共生社会の実現に向けた取組み
高齢化や単身世帯の増加、社会的孤立などの影響により、私たちが暮らしていくうえでの課題は、様々な分野が絡み合って複雑化し、個人や世帯においては複数の分野にまたがった複合化した課題を抱えています。
また、少子高齢化や人口減少により、多くの地域では担い手の減少を招き地域の活力や存続までをも脅かす課題となっています。
これらの社会情勢の変化を背景として、地域や世帯などの生活の様々な場において、支えあいの基盤が弱まってきており、暮らしにおける人と人とのつながりが弱まる中で孤立し、生活に困難を抱えながらも誰にも相談できない、あるいは、適切な支援に結びつかないことにより、課題が深刻化しているケースが増えています。
このような社会や暮らしの変化を踏まえ、誰もが生活課題を抱えながらも住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、地域の住民一人ひとりが支えあい、地域を共につくっていくことのできる地域社会の体制整備が進められています。
課題に対して、関係する制度や分野が連携して解決に向ける体制や住民同士を支える人と支えられる人と区別するのではなく、お互いに役割を担い支えあう体制づくり、地域課題を自分自身のことと受け止めて活動に参画し地域をつくる「地域共生社会」の実現に向けた取組みが全国的に推進されており、第3次計画の基礎として位置づけ、市民との協働による行動計画を作成し推進していきます。
2 地域福祉推進のための基本単位
地域福祉活動を推進するための基本単位として日常的な生活圏域(小学校区・中学校区・自治会や町内会など)があり、市民の主体的な福祉活動や市民参加の取り組みを進めるうえで基盤となる圏域です。
これからの地域福祉を推進するにあたり、基本単位を見直し、全市で取り組む圏域を第1層、市民の生活や活動の参加を基礎とする圏域を第2層、日頃から自分たちの暮らしを身近な小地域活動の実践の基本とする圏域を第3層と位置づけ、日常の支えあいや見守り活動に取り組むことを基本とし第3次計画に位置付けています。
- 第1層(市全域の単位)
市全域の事業や活動を中心として展開する単位で、地域福祉計画や地域福祉活動計画を基礎とした取組みを推進します。
- 第2層(5地域・30地区)
地域(旧5市町村)または30地区(振興会)を基本に、地域や地区内の住民による特性や強みを活かした福祉活動を展開する単位です。
- 第3層(333行政区)
日常生活において、身近な小地域による地域福祉活動を実践する単位です。
行政区内での福祉課題やニーズ、解決に向けた方法などについて話し合う場を設け、情報の共有や見守りや支えあいの活動を実践する単位です。
この話し合いの場として、地域セーフティネット会議(以下「ネット会議」という。)を推進し、住民主体による活動を市社協の福祉活動専門員(CSW)が、側面からの支援を行っています。

3 地域づくりのための協働
複雑・多様化する生活課題を解決し、これからも住みなれた地域で安心して暮らしていくためには、地域コミュニティの一層の充実を図るとともに、市民自らが地域の課題を認識し、解決に取り組んでいくことが重要です。
このため、地域における助けあいや支えあい福祉活動への参加などの市民の自主活動を推進することはもちろん、公的機関の協力、地域福祉を推進する団体の活動や支援など「公助(行政などが行う公的サービス)」「共助(介護保険制度など制度化された相互扶助)」「自助(自分自身や家族で解決すること)」、そして「互助(地域の中のたすけあいで解決すること)」の役割分担を明確にして、協働することを計画実践の根本としています。
この計画には、市民が主体性を持って参加し、生活課題の発見と解決のしやすい体制づくり、様々なニーズに対応する新たなしくみづくりの構築、幅広い分野や立場の人に参画していただく工夫などが、その手法として盛り込まれています。
また、地域内の福祉に対する機運を高める福祉教育の推進を促し、福祉基盤を充実させることにより、福祉活動の向上や協働による地域づくり、まちづくりにつながっていきます。
4 社会福祉法人による地域支援と法人間の連携
平成28年の社会福祉法の改正により、社会福祉法人の公益性や非営利性を踏まえて、本来持つ役割を明確化するため、地域における公益的な取組みの実施が規定されました。
このことにより、社会福祉法人が所在する地域や圏域を対象に、日常生活や社会生活上の支援を必要とする方々に対する福祉サービスや社会福祉事業を提供していくことが求められています。
社会福祉法人として、福祉サービスや社会福祉事業など地域に対する社会貢献のあり方について模索している一方、社会福祉法人が抱える人材の確保や育成などの課題があります。
これらの課題について、社会福祉法人による情報共有の場や同じような課題を解決に向けるとともに、それぞれの強みを生かした地域貢献活動のあり方を協議する場として、社会福祉法人間による連携が必要とされており、市社協がその調整役を担い、市民の課題やニーズに対する福祉サービスや社会福祉事業の提供、災害時における連携体制の構築などを進めていきます。
5 地域や個人の福祉課題の把握と支援
市社協では、福祉活動専門員(CSW)を配置し、専門職の育成と小地域ネットワーク構築の支援や福祉課題の把握、解決に向けた支援を行い、福祉課題の解決や住民による生活支援のしくみづくりや担い手の養成を進め、安心した生活が継続できる地域づくりに取り組んできました。
その成果の一つとして、第3層に位置付く333行政区でのネット会議の設置数は 220行政区を超え、多くの行政区で地域住民による話し合いの場が構築され、見守りや支援の対象者の把握や情報共有、サロン活動による集いの場の運営への支援体制が再構築されることとなりました。
第3次計画では、福祉活動専門員(CSW)の役割や活動が市民に広く認識されるよう取組みを進めるとともに、地域住民が主体となる福祉活動を、より多くの市民に周知していきます。
また、福祉活動専門員(CSW)が集いの場へ出向き、課題協議や情報共有など行う場合、可視化を取り入れながら地域住民の福祉の機運を高める取組みを進めます。
地域福祉活動計画の体系

第3次奥州市地域福祉活動計画と第3期奥州市地域福祉計画との連動

第3章 推進目標による実施計画
1 誰もが安全・安心に暮らせる地域づくり
(1) 身近な地域における生活課題の発見や解決に向けた体制をつくろう
◇現状と課題
地域では様々な状況にある方が共に暮らしていますが、社会情勢の変化により生活様式や働き方も多種多様となり、共有される時間や機会が減少したこと で、近隣住民同士の関わりの希薄化が進んでいると思われます。
これにより、地域での見守りや支援が必要な方に関する情報の把握は困難となり、課題は複雑化、深刻化していき、把握できたとしても、課題解決のための関係機関につなげられないケースは少なくありません。
このような中、近隣住民や福祉関係者が連携や協働しながら、複雑化する困りごとの解決に向けた体制構築の重要性が高まっており、市社協では困りごとを抱えた方々の早期発見や課題解決などに取り組む場として、地域セーフティネット会議の普及を進め、市内 220 を超える行政区で取り組まれています。
主体的に協議を進める行政区が増えてきており、開催する回数が増えることで協議の内容が醸成されている行政区があるものの、一方では、協議をどのように進めたら良いのか悩んでいる行政区もあります。
また、地域内での見守りや支援が必要な人の情報が、近隣同士のつながりの希薄化や個人情報の取扱いにより把握が困難なため、早期の発見がしづらい状況があります。災害発生時においては、お互いの安否確認や避難誘導など助け合いが大切であり、日頃からのつながりづくりが必要です。
◇具体的な取組み
地域セーフティネット会議が、困りごとを抱える方の早期発見や解決に向けての相談の場、解決するための新たなしくみづくりの場となるよう普及や充実を図ります。
地域セーフティネット会議により、地域内での見守りや支援が必要な人のほか、自ら助けを発信できない人や認知症を抱える世帯の早期発見、障がい者世帯における「親亡き後問題」など、課題を抱える世帯へ制度やサービス等の情報が提供できるよう充実を図ります。
福祉教育に取り組み、同じ地域で共に生活しながらお互いに支えあえる地域づくりに向けた研修や講座などを実施します。

◇該当事業名
- 小地域ネットワーク事業
- 地域で暮らし続けるためのおかげさまを学ぶ講座
- ご近所福祉スタッフ研修会
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 地域セーフティネット会議の立ち上げや継続した開催に取り組みます。
- 困りごとの発見や解決に向けた取組みを学ぶ研修会や講座などに参加します。
- 多世代で取り組む地域行事や活動を関係団体と一緒に検討し実施します。
- 行政の取組み
- 必要な情報を提供し、地域での取組みが活性化するよう支援します。
- 地域で開催する各種研修や講座の開催を支援します。
- 社会福祉協議会の取組み
- 地域セーフティネット会議の開催を支援します。
- 支援が必要な人の早期発見に向けたしくみづくりを支援します。
- 地域における困りごととその解決方法について、市民や福祉関係者などを対象とした研修会や講座を企画し実施します。
◇活用できる財源
- 共同募金配分金
- 市受託金
(2) 日常生活をお互いに支えあうしくみをつくろう
◇現状と課題
地域内には、高齢や障害、けがや病気などにより、通院による外出や付き添い、冬期間の除雪、日々のゴミ出しなどの生活するうえで困難と感じる「ちょっとした困りごと」があり、手助けを必要としている方がいます。家族や親族による支援が難しかったり、近くに頼れる人がいなかったりするため、近しく親しい関係のみでは困りごとの解決が難しい場合もあります。
市社協では、このような課題に対して、「ちょっとした困りごと」を住民相互のたすけあいで解決するしくみとして、住民参加型在宅福祉サービスを進めています。

しかし、既存のサービスやしくみだけでは社会情勢の変化から支援をする担い手や協力者の不足、支援する側と支援を受ける側のマッチングの難しさなど、課題がでてきました。
このような課題を解決し住み慣れた地域で安心して生活していくためには、地域でのたすけあいの意識を醸成していく必要があり、既存のサービスやしくみを見直し、新たな支えあい活動の構築、活動の周知と普及を進めることが求められています。
◇具体的な取組み
「ちょっとした困りごと」を、地域セーフティネット会議を活用し、課題の共有と解決の方策を話し合い、既存のサービス見直しや新たな支えあい活動の構築に取り組みます。
身近な地域で発行する会報誌やお知らせの機会を活用し、活動の紹介や支援者を募る機会をつくります。
高齢者や障がい者に特定せずに、地域で暮らすすべての人の困りごとを地域全体の困りごととして考え解決に向け取り組む意識の醸成を進めるため、市民を対象とした研修会や講座を企画・実施します。

◇該当事業名
- 小地域ネットワーク事業
- ささえあいの会
- 外出支援サービス事業
- 福祉車両貸出事業「あばいん」
- 地域で暮らし続けるためのおかげさまを学ぶ講座
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 地域課題を共有し住民相互の新たな支えあい活動について地域セーフティネット
- 会議を活用して話し合い、地域の福祉力の向上をめざします。
- 地域のリーダー育成と活動が継続できる自治会組織としくみを検討します。
- 行政の取組み
- 住民主体による多様なサービスが提供できるよう、関係機関や住民組織などと横断的な体制づくりを進めます。
- 社会福祉協議会の取組み
- 住民主体によるサービスの事例集や手引きの作成など、地域に密着した情報提供を進めます。
- 日常生活を支援するための地域のたすけあい活動を支援します。
◇活用できる財源
- 国庫助成金
- 市介護保険総合事業助成金
- 市委託金
- 共同募金配分金
- 利用料
(3) 地域住民とのつながりをつくり暮らしていこう
◇現状と課題
これまで、地域においては、既に公的サービスを利用している方は「サービスにつながっているから安心」「見守りは不要」と捉えられてきました。そのことから、近隣住民との関係が希薄になり、地域で孤立してしまう傾向が強まってきています。
また、利用者本人はサービスを利用しながら在宅での生活を続けていきたいと望むことが多くありますが、利用者の日常生活の支援については、家族や親族の負担が大きくなり、近親者だけではその負担を抱えきれない状況になることもあります。
地域の中で、その人らしい生き方、生活を支えていくためには、公的福祉サービスだけではなく、サービス利用者の家族支援も含め、地域とのつながりによる地域内でのたすけあいも必要となります。
◇具体的な取組み
支援を必要とする方が、いきいきサロンや地域のたすけあい活動に参加し、地域とつながりが途切れないよう交流の機会づくりを進めます。
公的福祉サービスと地域におけるたすけあい活動について、連携のあり方を検討します。
また、関係機関や団体と情報交換を行い、互いのサービスや活動を学び合う機会をつくり、地域に根差したより良い支援を展開するための連携体制の構築を進めます。


◇該当事業名
- 小地域ネットワーク事業
- ささえあいの会
- 在宅福祉サービス
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 地域においてたすけあい活動や生活支援に取り組みます。
- 公的福祉サービスとの連携のあり方を学ぶため、情報交換会や研修会へ参加します。
- 行政の取組み
- 公的サービスと地域のたすけあい活動との連携のあり方について検討します。
- 公的サービスと地域のたすけあい活動との連携を図るため、研修会や情報交換会など互いのサービス活動について学び合う機会の創出に協力します。
- 社会福祉協議会の取組み
- 公的サービスと地域のたすけあい活動との連携のあり方について検討します。
- 公的サービスと地域のたすけあい活動との連携を図るため、行政との協働により情報交換会や研修会などの企画や実施に取り組みます。
◇活用できる財源
- 介護予防日常生活支援総合事業
- 介護保険事業収入
- 市受託金
- 自主財源
(4) 災害時の安否確認や避難誘導に取り組める体制づくりをすすめよう
◇現状と課題
近年の度重なる自然災害により、水害や土砂災害が起こる可能性の高い地域を中心に、市民の防災に対する意識が強くなっています。奥州市においても、災害が発生した際の安否確認や避難誘導は最優先課題として挙げられています。
しかし、地域によってその意識や避難誘導訓練の実施、災害時への備えに対する取組みには差異があります。

これまで市内 220 を超える行政区で地域セーフティネット会議が開催され、要支援者に関する情報共有 や見守り体制の確認などが行われています。
市社協では、地域の関係者と協力しながらにこにこネット台帳や避難行動要支援者台帳への登録、緊急連絡カードの作成や配付など、要支援者に対する平常時の見守り、災害時の避難支援について取組みを進めてきました。
一方、実際の災害時に機能する体制構築までには至っておらず、民生児童委員や行政区長、地域の福祉関係者、自主防災組織などとのさらなる連携の強化が必要です。
◇具体的な取組み
平常時における避難行動要支援者台帳の整備を進め、災害発生時にも機能する体制を構築します。
地域セーフティネット会議と自主防災組織関係者が連携するよう働きかけます。
自主防災組織と連携し災害を想定した安否確認や避難誘導訓練の普及をめざします。

◇該当事業名
- 小地域ネットワーク事業
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 地域セーフティネット会議に自主防災組織関係者を含め、避難 行動要支援者台帳の整備を進めます。
- 自主防災組織と連携した災害を想定した安否確認や避難誘導訓練を実施します。
- 行政の取組み
- 奥州市避難行動要支援者避難支援計画に沿って、防災情報の伝達手段、伝達体制や避難誘導の支援体制を構築します。
- 災害時に機能する体制構築のため、地域において自主防災組織と協働しながら取組みを進められるよう地域に働きかけます。
- 社会福祉協議会の取組み
- 地域セーフティネット会議へ参画し、他の地域の取組みや自主防災組織との連携について情報を提供します。
- 福祉と防災の一体的な推進を目指し行政に働きかけます。
◇活用できる財源
- 市受託金
- 共同募金配分金
(5) 個人情報やプライバシーを正しく理解しよう
◇現状と課題
個人の困りごとを地域で解決していくためには、その地域の住民が自分の困りごととして理解し、たすけあいの意識を醸成することが重要となります。
近年は、複合的な課題を抱える世帯の増加や地域のつながりの希薄化が進み、支援を必要とする世帯の把握がより困難となっています。
そのような中で、地域セーフティネット会議が各地域で組織され、避難行動要支援者や平常時の見守りが必要な世帯の情報を地域の関係者で共有し、必要とする支援に取り組んでいます。
しかし、地域での取組みでは支援をする担い手、支援を受ける受け手の双方の個人情報の保護やプライバシーへの配慮が課題となっています。
個人情報保護法では、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利権益を保護すること」と定められており、保護するだけではなく個人情報の有用性と個人の権利利益とのバランスを見極めることが重要となります。地域で支援を必要とする世帯の発見や支援へつなげていくために、個人情報に関して適切な収集や管理、共有を行うしくみが必要とされています。
◇具体的な取組み
地域の中で見守りや支援が必要な世帯を把握し、必要な支援へつなげていくために地域の関係者間で必要な情報の収集や管理、共有するための手引きを策定します。

◇該当事業名
- 小地域ネットワーク事業
- 地域支援に関する個人情報の手引き(新)
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 地域セーフティネット会議を通して地域の避難行動要支援者の把握や日常の見守りが必要な世帯の状況を把握し、必要な支援へつなげます。
- 行政の取組み
- 災害時に地域住民が必要とする避難行動要支援者情報を提供します。
- 社会福祉協議会の取組み
- 地域内での支援や見守り活動を通して課題を把握し、情報を共有するための手引きの作成に向けた検討と情報共有のしくみづくりを進めます。
- 必要な情報が受け取り難い方に対して、地域の情報誌や回覧板などを活用した情報発信に取り組みます。
◇活用できる財源
- 共同募金配分金
- 会費
- 市受託金
2 地域福祉を支えるしくみづくり
(1) 地域の担い手や人材を育成しよう
◇現状と課題
地域福祉活動を展開していくためには、日頃から近隣住民同士のより良い関係を築いていくことが大切です。福祉懇談会による市民からの意見では、住民交流を充実させることこそが地域づくりにつながるとの期待が寄せられており、特に、これからを担う子どもや若者が主体となりながら地域社会で活躍していく場をつくることは、未来に活力と希望を与えます。
しかし、働き方が多様化したことや社会の変化の中で近所付き合いの希薄化が進み、若い世代を中心に地域行事や活動などへ参加しない世帯が増加しています。具体的には、世代間による意識の差や生活様式の違いがあり、他の世代と共有できるものが少なく地域の集会には行きづらい、行っても居場所がない、参加してもメリットがないなどと感じてしまうことも大きな要因のひとつと考えられます。また進学や就労で一度地元を離れ、都市部からUターンあるいはIターンした人が地域に馴染むための機会もあまり多くはない状況です。
また、若者の地域参画が減ることで人材育成やリーダーの交代が進まなくなり、高齢になっても同じ人が何期も役職を担うことになるなど、その負担感からますます役職に就く住民が減少しています。このような状況は、日頃のたすけあいや支えあい活動に影響するだけでなく、発災時のような緊急的対応が必要な場面でも十分な支援体制が構築できなくなる恐れがあり、早期に解決していく必要があります。
◇具体的な取組み
これからを担う子どもや若者が地域で活躍できる場づくりと地域に定着できる環境を整えていきます。
子どもや若者が主体となって企画する事業の実施など、一人ひとりの地域活動の出番を創出します。また取組みを通して住民それぞれの考えを尊重できるような地域社会環境の醸成を目指し、協働のプラットフォームの立ち上げを支援するなど誰もが居心地のよい地域づくりを推進します。
若者が企画する地域課題の解決や地域の元気創出活動、研究などに対して、地域団体やボランティア、NPO、企業、大学、社会福祉法人、市社協などが協働し、資金や技術、人材など、その取組みを支援します。

◇該当事業名
- 奥州市若者チャレンジ応援事業(新)
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 子どもや若者が企画する事業や活動に幅広い世代へ参加を呼びかけるなど つながりづくりに取り組みます。
- 行政の取組み
- 空きスペ-スや社会福祉施設を活用した活動や交流の拠点づくりを支援します。
- 事業に対して助成を行い、活動の活性化が図られるよう支援します。
- 社会福祉協議会の取組み
- ボランティアセンターによる若者グループの活動や立ち上げの支援、若者チャレンジを応援するため地域団体、ボランティア、NPO、企業、大学、社会福祉法人、市社協などによる協働のプラットフォームづくりを進めます。
◇活用できる財源
- 国庫補助金
- 市補助金
- 共同募金配分金
(2) 誰もが制約されることなく移動できる環境をつくろう
◇現状と課題
人口減少、高齢化、商店の大型化による商店の撤退など、交通や流通機能の弱体化が進んでおり、食料品や日用品を買えない高齢者や障がい者などの住民を中心に買い物困難者の問題が深刻になっています。
また、バス路線の廃止により医療施設への通院も困難な地域がある中、今までのたすけあいによる友人や近隣による自家用車の相乗りが、高齢による運転技術の低下や交通事故に対する不安のため困難になっています。
このように、日常生活を送る中で、外出するための移動手段が確保できない移動制約者に対する支援が必要となっており、過疎化の進んだ農村や中山間地域の住民に限られた問題として捉えられていましたが、近年は市の中心部の商店街の衰退により市街地でも顕在化した問題となっています。
◇具体的な取組み
地域の状況に応じた住民主体の移動支援サービス、または地域と企業、社会福祉法人などが連携し、福祉車両の貸出や介助者の同行も組み合わせた共同事業の実施など、移動制約者に対する支援のしくみを構築します。
また、インターネットを活用して自宅や外出先でも移動手段の手続きができるような移動制約者への支援にも取り組みます。


◇該当事業名
- 小地域ネットワーク事業
- 生活支援事業
- 福祉車両貸出事業「あばいん」
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 地域内の移動制約者の状況や地域課題について把握し、住民主体で実施できる移動支援サービスや企業、社会福祉法人などとの連携のあり方を検討します。
- 行政の取組み
- 市内の企業や社会福祉法人へ移動支援や買い物支援の取組みへの協力を働きかけます。
- 社会福祉協議会の取組み
- 地域セーフティネット会議などを通じて情報を把握するとともに、社会福祉法人が実施している地域貢献事業や企業の取組み、地域内で既に行われている住民の取組みなどの社会資源を紹介し、取り組みたい地域と企業、社会福祉法人のマッチングを行います。
◇活用できる財源
- 国庫補助金
- 共同募金配分金
- 介護予防日常生活支援総合事業
(3) 福祉の意識を高める情報を発信しよう
◇現状と課題
地域福祉活動を展開していくためには、地域福祉を支える市民一人ひとりが地域福祉に関心を持ち、ともに支えあえる関係が地域の中で形成されて行くことが重要です。そのためには、市民が福祉的意識や体制の重要性に気づき、関心を持つための情報が必要です。
しかし、現状は情報を必要とする人に情報が届いていない、制度の内容がわからない、情報が多過ぎてわからないといった声も多くあり、情報が市民に等しく伝わっていません。これは、伝える媒体によって情報量の差があること、あるいは情報自体は届いていても真意が十分に伝わっていないという、伝える側と受け取る側の解釈に隔たりがあることが理由として考えられます。
また、福祉とは「困ったときに世話になるものだ」というイメージを持っている住民も多く、福祉的活動は私たちの生活そのものに関わるものであることが十分に伝わっていません。こうした情報の不足は、福祉的意識が醸成されにくくなることにもつながります。そのため、福祉の情報を正しく住民に届けることが必要です。
◇具体的な取組み
情報の受け手となる人の視点に立ち、幅広い年代の人へ情報を正確にわかりやすく伝えるしくみの充実や強化を図ります。また、情報を得る機会が限られている方へ福祉サービスの内容や質などが十分に伝わるよう配慮し、福祉相談や情報に関し、利用しやすいものを目指します。

福祉懇談会や地域セーフティネット会議、または小地域単位で行われているサロンなどへ出向き、住民に向けて直接情報を伝える場を増やしていきます。また、職員による出前講座の充実を図ります。
福祉関係者向けの福祉情報ガイドブックを作成し、見守りや声掛けなどの活動を通じて地域の中で情報を得る機会が限られている方へ適切な情報が届くしくみを構築します。
様々な地域福祉活動やボランティア活動、学校の福祉体験、企業の社会貢献活動やSDGs達成のための取組みと連携し、情報や活動の可視化に努めます。
従来から実施している福祉のイベントや広報が、本当に伝わるものであるかを再検討し改善します。

◇該当事業名
- 小地域ネットワーク事業
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 福祉に関心がある方、情報を必要としている方へ情報を届けます。
- ニーズ把握のためのアンケートへ協力をします。
- 行政の取組み
- 福祉情報の可視化のための周知と記事募集への協力をします。
- 情報を得る機会が限られている方へ情報が十分に伝わるよう配慮を行います。
- 社会福祉協議会の取組み
- 市民のニーズ把握のためのアンケートを実施します。
- 情報の可視化のための周知と取材を実施します。
- おうしゅう福祉だよりでの記事掲載と福祉情報ガイドブックを配付します。
- 小地域単位での出前講座を開催します。
◇活用できる財源
- 共同募金配分金
(4) 子育て世代を地域で支えるしくみをつくろう
◇現状と課題
子ども・子育て支援は行政による支援事業があるものの、一律の制度や基準の範囲内による支援が多く、子育て世代の困りごとはあまり表面化していません。しかし、それらの支援には限界があり、制度や事業の狭間で必要な支援を受けられない世帯もあります。
また、社会構造や生活様式が変化する中、昔からの固定された育児の価値観と現在の育児とでは隔たりがあり、現実に戸惑っている子育て世代が増えてきています。
近年では、人と人とのつながりの希薄化により、社会から孤立する世帯が潜在しており、こども社会での問題が引き金となる「ひきこもり」やこどもが親や同居家族等の介護を行う「ヤングケアラー」などが社会的問題になっています。
現代の育児状況を地域が理解し、子育て世帯を見守ることの必要性や孤立している世帯の発見、世帯が抱える家事や育児への支援など関係機関やサービス等とつながるしくみが求められています。
◇具体的な取組み
子どもが主体となる放課後児童クラブや子ども会育成会活動などの取組みへ地域住民の参画の機会を取り入れ、地域と子育て世代が接点を持つきっかけづくりを支援します。
地域の中の居場所として、これからの社会にあった組織運営・活動を行う、団体を支援できるような環境づくりを目指します。加えて、企業や地域の若者などと連携し、地域と支援を必要とする世帯を登録して結びつける管理システムの構築を目指します。
子育て世代が必要な支援に結び付くよう、市と連携して乳児全戸訪問や乳幼児健康診断時、また各学校や保育所などで子育てサービスや支援の周知をし、サービスなどの活用に結びつけていきます。さらに、事業の利用や周知に関して、SNSを活用した予約や連絡などのシステムを構築し、子育て世代が利用しやすい方法を検討します。
子育て世代が気兼ねせずに、地域の支援やサービスなどを活用できるよう、地域セーフティネット会議にて関係機関や市社協の把握している子育て世代の現状や課題を共有し、地域の福祉関係者の子育て家庭への理解を促します。また、気にかかる世帯や子どもの様子が地域セーフティネット会議で自然と話題にあがり、早期の課題発見に結びつけられるように支援します。
家事や育児等に不安や負担を抱える子育て世帯へ、家事や育児等のサービスを提供するとともに、悩みや困りごと等を把握して解決に向けた支援を行います。

◇該当事業名
- 子育て世帯訪問支援事業(新)
- ファミリーサポートセンター事業
- 放課後児童クラブ健全育成事業
- 小地域ネットワーク事業
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 世代間交流などを通して、顔の見える関係づくりを進めます。
- 子育て世帯による悩みや困りごと等の早期発見を行い、関係機関への相談等を進めます。
- 行政の取組み
- 直接、子育て家庭と関わる機会に子育てサービスや支援の周知を行います。
- 子育て世代の求める支援について把握します。
- 居場所や交流スペースとなる施設の整備をします。
- 子育て世帯が不安なく暮らせるよう、訪問支援事業を実施します。
- 社会福祉協議会の取組み
- 子育て世代の求める支援について把握します。
- 行政や地域と連携し、居場所・交流スペースとなる場所を整備します。
- 情報発信と登録者を結びつける管理システムの開発について企業と協議し共同開発を進めます。
- 市と連携し、サービスや支援の周知に努め、子育て世代が地域の力やサービスなどを活用しながら子育てできる環境づくりを行います。
- 地域セーフティネット会議などを通して地域の世代間交流など、顔の見える関係づくりを支援します。
- 各部門との連携のあり方について検討を行い、事業の展開を行います。
- 関係機関と連携し、地域住民及び子育て世代の必要とするサービスの充足に努めます。
◇活用できる財源
- 国庫補助金
- 市補助金
- 受託金
- 共同募金配分金
- 会費
(5) 地域での活動を支えるボランティアセンターにしよう
◇現状と課題
第2次奥州市地域福祉活動計画で取り組んだボランティアセンター機能の一本化により、各地域で開催する講座やイベント、助成金などの情報は、ボランティア・市民活動センターで集約し発信するとともに、おうしゅう福祉だより、新聞、SNS、本会ホームページにも随時掲載して活動の周知や啓発を行っています。
一方、ボランティア団体の活動内容などの情報はいずれの媒体にも掲載していないため、ボランティアの募集記事を月1回新聞に掲載するにとどまっています。
また、ボランティア団体の情報や一覧が整備されていないため、ボランティア活動に関心のある方や、これからボランティアを始めたいと思っている方にとって必要な情報が入手しづらい状況にあることが課題となっています。
さらに、市内のボランティア活動者の高齢化が進んでいることから、ボランティア活動に若い世代の参画を促進するしくみづくりが必要です。
併せて、新たに参画しようとする方への支援に取り組み、奥州市内のボランティア活動の更なる普及と発展に尽力する必要があります。
◇具体的な取組み
ボランティア・市民活動センターの役割や機能、ボランティアにかかる啓発についてホームページや広報紙などで分かりやすく周知します。現在のホームページの内容に加え、さらに情報を充実させ、必要な情報へのアクセスを簡便にし、広く市民に知ってもらうことで、ボランティアに対する理解を深めていただくとともに、より市民に身近で親しみやすいボランティア窓口となるよう進めます。
福祉関係者(民生児童委員、福祉活動推進員、ご近所福祉スタッフ)向けの「福祉情報ガイドブック」(パンフレット)の作成を行い、地域の中で配付・活用していただくことにより、インターネットでは情報を得にくい方にも福祉情報を提供できるようにします。
地域へ出向き市民向けの講座を行う「出前講座」の内容を検討し、市民に広く周知 します。講座を通して、様々な分野の専門職が地域へ福祉情報を届け、福祉力の醸成を図ります。
市内のボランティア団体情報を整理して、検索しやすくするためのシステムを構築し、活動情報や募集情報などを発信します。「ボランティアを始めたい」・「ボランティアを募集したい」・「ボランティアをお願いしたい」など、市民に必要とされる情報を発信できる環境を整備することで、ボランティア活動やボランティア団体の更なる活性化が期待されるとともに、ボランティアコーディネート業務に活用することで、様々な市民や活動者の需要に対するきめ細やかな対応が可能になるよう取り組みます。
情報発信媒体を活用した情報発信・登録制度の構築を行います。若い世代に慣れ親しんでいる媒体を活用することで、ボランティア活動への参画を促進できるよう進めます。


◇該当事業名
- ボランティア・市民活動センター
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
【市民・地域の取組み】
- データベースやホームページを活用して、ボランティア活動の情報を得ます。
- ボランティア活動に参画します。
- 各団体で新規会員参入に向けた取組み(声がけなど)を行います。
- 活動内容やボランティア募集情報の提供を行います。
- 行政の取組み
- ボランティア・市民活動センターの取組みを理解し、協力します。
- 社会福祉協議会の取組み
- ボランティア情報を集約、発信します。
- ボランティア活動者の声を発信します。
- ボランティア団体の立ち上げ支援を随時行います。
- 情報発信ツールの運用を行います。
- 「福祉情報ガイドブック」の作成と配布をします。
◇活用できる財源
- 共同募金配分金
(6) 地域共生社会の実現に向けて社会福祉法人の連携を強めよう
◇現状と課題
社会福祉法人のあり方として、多様化するさまざまな地域ニーズに対応し、地域に根差した取組みの推進が求められています。しかし、地域ニーズの把握が難しいことや、人員や資金的な余力が不足している法人があるため、公益的な取組 みを行うことが難しいのが実情です。
市社協では、市内社会福祉法人を対象にフォーラムを開催し、法人同士の情報交換の機会の設置や連携・協働に関するアンケート調査の実施など、社会福祉法人間の連携に向けて取り組んでいます。
今後は地域共生社会の実現に向け、地域における公益的な取組みを分野の枠を超えて社会福祉法人間で連携し、協働することが求められています。

◇具体的な取組み
社会福祉法人が分野の枠を超えて連携、協働を検討する場として、市社協が調整役となり、市内社会福祉法人ネットワーク会議を開催し、今後の方向性を確認するとともに具体的な取組みについて協議します。
地域ニーズの収集や課題の提起により、社会福祉法人が主体性を持ち、地域における公益的な取組みを進めます。
また、各法人だけでは難しいとされる福祉教育を取り入れた担い手の育成や安心、安全な地域づくりを目指した防災及び災害支援体制の構築などについても、一体的に取り組める体制の構築を目指します。
地域ニーズを集約する方法として、福祉懇談会の他にSNSを活用し、多世代からのニーズを拾い上げ、地域貢献活動の目安とします。

◇該当事業名
- 市内社会福祉法人ネットワーク会議(新)
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 社会福祉法人に対して、地域活動への参加や協力を提起します。
- 行政の取組み
- ・社会福祉法人連携だけでは取組みができない部分についての支援を行います。
- 社会福祉協議会の取組み
- 市社協が調整役となり、市内社会福祉法人ネットワーク会議を開催し、市内で抱えている福祉ニーズや課題を市内の各法人で情報を共有し、地域貢献事業の実施に取り組みます。
◇活用できる財源
- 共同募金配分金
- 市内社会福祉法人からの拠出金
3 市民の暮らしや活動を支える体制づくり
(1) 福祉活動専門員(CSW)の活動を広めよう
◇現状と課題
昨今、ゴミ屋敷、ひきこもり、不登校、ホームレス、ご近所トラブルなど、公的な福祉サービスだけでは対応できない制度の狭間にある生活課題への対応が重要視されています。
市社協では、このような課題を抱える方を支援する専門職として福祉活動専門員(CSW)を配置しています。
福祉活動専門員の活動や役割は福祉関係者には周知されつつあるものの、日頃どのような活動しているのか一般市民には見えにくい面もあり、福祉活動専門員の認知度の向上を図る必要があります。
◇具体的な取組み
制度の狭間の課題を抱える人は自分から助けを求めることが難しい場合が多くみられます。福祉活動専門員は、資質向上の研鑽を図りながら地域に出向いてその声を拾うことから地域住民との関係を築き、その地域の情報から支援を必要とする人を取り巻く家族、近隣住民など共同して解決に向けた支援を行います。また、地域への支援を通して、個人や地域にとって信頼できる福祉活動専門員を目指します。
日頃の活動を可視化し、市民に対して活動内容や役割を広く周知していきます。

◇該当事業名
- 福祉活動専門員(CSW)設置事業
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 地域セーフティネット会議など地域で開催される集会や会合などへ参加します。
- 福祉活動専門員の活動に係る報告書やパンフレットなどを通して活動を知るとともに、困りごとや解決したいことなどを発見した場合に情報を提供します。
- 住民意識調査へ協力し報告会へ参加します。
- 行政の取組み
- 福祉活動専門員の活動への協力と活動の周知を行います。
- 社会福祉協議会の取組み
- 活動事例や記録の整理を行い、各地域の状況を分析し、報告書、情報誌、パンフレット、PR動画などを作成します。
- 地域セーフティネット会議など地域で開催される集会や会合などへ出向き、広報媒体を活用した周知活動を行います。
- 振興会単位での住民意識調査を行い、報告会を通して課題解決に向けた提案を行います。
◇活用できる財源
- 会費
- 寄付金
- 市受託金
(2) 市民・法人・企業など多くの機関と連携して災害に備えよう
◇現状と課題
市社協では、災害時の復旧や復興に向けた福祉救援活動を進める拠点となる、災害ボランティアセンター(以下「災害ボラセン」という。)の活動マニュアルを平成23年の東日本大震災を契機として作成しました。
近年、全国各地で自然災害が頻発し、私たちの暮らす地域でもいつ大規模な自然災害が発生してもおかしくない状況ではあるものの、マニュアル作成後、市内で災害ボラセンを開設した実績がなく、令和2年度に奥州と金ケ崎町との広域圏による災害ボラセンの設置・運営訓練の実施において、現状に即した内容となるよう見直しをする必要性が出てきました。
加えて、災害ボラセン設置後は、市民団体やボランティア、市内社会福祉法人、企業との連携や協力が不可欠となるため、普段からのつながりや関係づくりが求められています。
◇具体的な取組み
市民団体やボランティア、行政などとの調整を踏まえながら、現状に即した災害ボラセン活動マニュアルとします。
広域市町村ネットワーク連絡会議、市民団体やボランティア、社会福祉法人と連携した災害ボラセン設置・運営訓練を行います。
市民団体やボランティア、社会福祉法人とのつながりや関係づくりに取り組みます。

◇該当事業名
- 災害ボランティアセンター
- ボランティア・市民活動センター
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 平常時から市社協や行政、関係機関などとつながりを構築し、災害時に連携して支援を行います。
- 災害時を想定した研修や訓練に参加します。
- 行政の取組み
- 防災にかかる各種情報の提供を行います。
- 災害時を想定した研修や訓練の開催、他機関の開催する研修などへ協力します。
- 社会福祉協議会の取組み
- 災害ボラセン活動マニュアルの見直しを行い、改定します。
- 災害ボラセンの設置や運営の訓練を実施します。
- 市民団体や社会福祉法人、企業などとのつながりや関係づくりに取り組みます。
◇活用できる財源
- 共同募金配分金
(3) 個人や地域の思いを伝えられる環境をつくろう
◇現状と課題
福祉懇談会は、奥州市地域福祉活動計画の策定に向け、市民の地域福祉活動に関する意識を把握するために平成21年度より市内で開催されています。
福祉懇談会では、災害時のたすけあいや買い物・除雪困難者対策、住民同士のつながりづくりなどの地域での困りごとに関する意見が多く出ていますが、大勢の参加者がいる中で意見が言えない方もいます。また、例年、福祉関係者を中心に参集を呼びかけていることもあり、若年層、中年層などの参加者が少なく、高年層の参加者が多い傾向となっています。
これにより、ニーズの把握や集まる情報に偏りが出てきていることから、従来の開催方法の他に時間や場所に縛られないSNSなどを活用し、より多くの市民の福祉ニーズの把握を行うことが求められます。
◇具体的な取組み
SNSを活用し、若年層、中年層などが意見を発信できる場を作ります。
また、地域セーフティネット会議で挙げられた課題について、取りまとめる手法を構築します。
SNSを立ち上げる際は、福祉だより、ホームページ、チラシなどにQRコードを作成し、掲載することで、より情報を受け取りやすいしくみを構築します。
作成したチラシは、高等学校や障がい者団体へ配付し、SNSへの登録を促します。

◇該当事業名
- かたりあいの輪福祉懇談会
- 小地域ネットワーク事業

◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 広報誌やホームページ、チラシなどに掲載するQRコードからSNSに参加し、意見を述べます。
- 行政の取組み
- 市社協と連携し情報交換を行います。
- 社会福祉協議会の取組み
- SNSの活用に向けて準備を行い、幅広い世代の意見を集約します。
◇活用できる財源
- 共同募金配分金
(4) 近隣に見えにくい困りごとを地域や専門機関が連携して解決に向けた支援につなげよう
◇現状と課題
認知症や介護を要する世帯の困難課題や、助けを求めない・困りごとの自覚のない世帯、8050問題のひきこもり、病気などで仕事に就けない人など見えにくい困りごとが広がっている状況が福祉懇談会の意見やアンケート調査からわかります。
また、制度の狭間の課題や同一世帯に住む同居者の課題、罪を犯し更生した人などが再び罪を犯さないよう、地域で暮らしていくための支援が必要です。
最近では、行政区における民生児童委員やご近所福祉スタッフの見守り、地域セーフティネット会議やにこにこネット台帳の整備により、高齢者や障がい者については見守りのしくみができている一方で、近隣者が介入できない困りごとを抱える住民に対しては、異変を感じているものの、支援できずにいるケースが少なからずあります。
制度の狭間や深刻な困りごとを抱える方への対応には、住民の見守りや支援だけでは対応が難しい面があります。援助を必要とする人に寄り添い、定期的な訪問や同行支援による継続的・計画的な支援を行う専門機関と地域の見守り活動が両輪で支えていくことが必要です。
◇具体的な取組み
子育てや介護、ひきこもり、困窮や助けを求めないなど世帯の複合的な問題に対して、相談しやすい窓口を設置します。また、相談者が来るのを待つだけではなく、専門職員が地域に出向き課題の把握に努めます。
近隣が異変を伝えやすい地域セーフティネット会議、民生児童委員や専門機関との連携のしくみの充実を図ります。
悩みごとや困りごとなど課題を抱える世帯等だけでは解決が困難なケースについては、専門職等による連携や伴走による支援を行います。

◇該当事業名
- 小地域ネットワーク事業
- 生活困窮者自立支援事業
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 地域セーフティネット会議を立ち上げ、継続して取り組みます。
- 身近に困りごとを抱える人がいた場合は、相談窓口を紹介します。
- 行政の取組み
- 税務関係や教育関係などの情報から、支援が必要な住民を発見した場合は相談窓口に確実につなげます。
- 制度横断的に課題解決を図る専門的な人材を配置します。
- 住民組織や専門機関に対して財政的な支援をします。
- 社会福祉協議会の取組み
- すべての事業で生活上の困りごとを拾いあげる視点をもって取り組みます。
- 利用しやすい相談窓口を整備します。従来どおりの来所・電話相談に加え、メールやテレビ電話を使った相談受付、ホームページやSNSを使った情報発信、若年層を対象とした調査や意見聴取を行います。
- 制度横断的に課題解決を図る専門的な人材を配置し、相談者とともに課題解決に取り組む伴走型の支援を行います。
- 課題解決に向けて他機関との連携を積極的に行います。
◇活用できる財源
- 市委託金
- 共同募金配分金
- 自主財源
(5) 高齢者や障がい者の権利を守る取組みをすすめよう
◇現状と課題
認知症や知的障害、精神障害などにより、自分一人では金銭の自己管理が難しく生活困窮に陥ったり、福祉サービスの利用や年金などの手続きに不安を感じている高齢者や障がい者がいます。しかし近年、そのような方々の生活をサポートしている家族や親族自身の高齢化や障害などで、充分なサポートができないケースが増加しています。
また、これらの状況に周りも気付かず、複雑化、深刻化してしまう場合もあります。
このような、高齢者や障がい者など、判断能力が不十分な方々が地域で安心して生活していくための制度として、日常生活自立支援事業や成年後見制度があります。市内でも現在 200 名を超える方がこれらの制度を利用していますが、今後は利用者の増加や個々のケースのさらなる複雑化、深刻化が予想されます。
しかし現状では、制度を知らない、どこに相談すればよいかわからないという方もいることから、対象者を早期に発見し、必要な支援に結びつけるための関係機関との連携の強化や、さらなる制度の普及、啓発が課題となっています。
権利擁護に関わるニーズが高まるなか、地域における権利擁護の担い手の育成をする市民後見人養成講座の実施や、市民による権利擁護活動を支援するしくみづくりが必要であり、制度利用促進の中心的な役割を担う中核機関を設置する必要性が高まっています。
◇具体的な取組み

パンフレットや広報、ホームページ、地域セーフティネット会議などを活用し、権利擁護制度のさらなる普及、啓発を行い、対象者の早期発見を図ります。
関係機関など連絡会議や法人後見運営委員会を開催し、社会福祉関係者及び行政との連携の強化、より良い支援の実施を進めます。
市民後見人養成講座を開催し、地域における権利擁護の担い手を育成するとともに、市民が活発に市民後見人として、権利擁護活動に取組むことができる体制整備を進めます。
成年後見制度利用促進基本計画に基づき中核機関の早期設置に努め、相談支援の実施や関係者によるネットワーク構築を目指します。

◇該当事業名
- 日常生活自立支援事業
- 法人後見事業
- 小地域ネットワーク事業
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 地域セーフティネット会議を活用し、対象者の早期発見を行います。
- 市民後見人として、権利擁護活動を推進します。
- 広報媒体を活用して、権利擁護制度に関する市民への周知を行います。
- 成年後見制度利用促進基本計画を策定し、中核機関を設置します。
- 市民による権利擁護活動を支援するしくみづくりを進めます。
- 関係機関など連絡会議などを通して関係機関・行政と連携し、利用者に対し必要な支援を実施します。
- パンフレットやホームページ、地域セーフティネット会議などを通じて市民や関係機関などに対し権利擁護制度の周知や啓発を図り、対象者の早期発見に努めます。
- 市民後見人養成講座の開催や、市民による権利擁護活動を支援するしくみづくりを進めます。
◇活用できる財源
- 公的補助金
- 利用料
(6) 市民の相談を真剣に受け止めて支援する体制をつくろう
◇現状と課題
これまで市民からの相談は、制度や事業の専門の相談窓口で対応されてきました。
しかし、近年の社会情勢の変化により、日常生活を過ごす中での困りごとや生活上の課題は多様化、複雑化しています。
これまでの各専門の相談窓口での対応では、多様化や複雑化した相談内容に対して、一つの分野のみの相談にとどまることが多く、分野を超え横断した相談支援につながらないことから解決に時間がかかったり、解決に至らなかったりすることがあります。
このように、制度や事業ごとに分断された相談対応ではなく、相談者やその世帯に対して、どの窓口で相談を受け付けても、他分野による横断的、包括的な相談や対応が求められます。
◇具体的な取組み
どの相談窓口でも相談内容を包括的に受け止め、他分野と連携した対応ができるよう進めます。
複合的な課題による相談内容は総合的な相談窓口を整備し、他の専門分野と連携して解決に向けた対応ができるよう体制をつくります。
各専門分野が連携し相談者やその世帯が抱える複合的な課題について、専門の職員が伴走しながら解決できるよう取り組みます。

◇該当事業名
- 重層的な支援体制整備(新)
- 生活困窮者自立支援事業
- 権利擁護事業
- 日常生活自立支援事業
- 地域包括支援センター事業
- 各種相談事業
◇取組みの方向性
- 市民・地域の取組み
- 困りごとや悩みごとを持つ個人や世帯を発見した場合、相談機関につなげます。
- 行政の取組み
- 相談窓口の一覧を作成して、市の広報やホームページのほか、各種研修や会合の機会を通じて市民へ周知を図ります。
- 相談窓口による対応の基準を示したマニュアルを作成し各種窓口へ基準を周知するとともに、相談対応の技術向上の機会をつくり、啓発に取り組みます。
- 行政機関内による庁内連携を図り、各分野を横断し包括的、重層的な支援体制を構築します。
- 社会福祉協議会の取組み
- 多様化、複雑化した相談に対応し、市社協内部での連携や各関係機関との連携の強化に努めます。
◇活用できる財源
- 市受託金
- 自主財源
第3次奥州市地域福祉活動計画 実施計画表
令和3年度から5年間、本計画に位置付けられた実施予定計画表です。
なお、第1期(3年)と第2期(2年)に区分し、期毎に達成状況の点検(モニタリング)と評価を行い、進行状況を管理しながら計画を推進します。
